Ogura Manabu


ニュースは何も伝えてくれない、というか何も伝えるべきことがない。米国の債務上限引き上げ問題が暗礁に乗りあげてから、米ドルに対する悲観的な見方と楽観的な見方が入り交じって投資家は身動きがとれない状態なのである。

そんな中、歯に衣着せぬ物言いで有名な稀代の投資家ジム・ロジャーズがWSJに語ったところによると

・短期的には米ドルを保有する。なぜならドルに対してみんな悲観的すぎる。一つのボートに乗る人が多すぎる場合は、もう一つのボートに乗ることを長い間投資にかかわって学んだことだ。ドルが売られまくっているということは、ちょっとしたきっかけでドルが暴騰する可能性もある。

・しかし長期的にはドルは保有しない。

・米国は「財政削減をする」と言い続けて40年にもなる。しかし財政削減が成功した試しはない。1985年のグラム・ルドマン法をみてみろ。26年前も「これ以上財政を赤字には出来ない」といっていて結局ダメだったじゃないか。「財政削減する」とか「赤字国債を発行しない」とか政府の言う事なんて茶番に過ぎない。

・(S&Pやムーディーズなどの格付機関が米国債に対するレーティング引き下げを警告していることについて問われて) 誰が今さら格付機関の言う事なんて信じるんだよ。これから短期的にでもデフォルトしようとしている国にAAAをつけてるほうがどうかしてるだろ。彼らの言うことに注意する必要なんて全然ない。


ドルに対して悲観的な見方がそれほど深いとは思わなかった。むしろ楽観的なムードが漂っているからこそ、好調な四半期決算と相殺するくらいの売りで済んでいるのだと。

ところで、ジム・ロジャーズが言っていた「グラム・ルドマン法」を少し調べてみた。正確にはグラム・ルドマンの財政均衡と緊急赤字コントロール法という名前だ。共和党上院議員のフィル・グラムと同じく共和党上院議員のウォーレン・ルドマン提出の議員立法だ。内容は、1991年までに財政赤字をなくして財政均衡を目指すという目標、そして赤字額には上限を設けるという法律である。

この法律の趣旨もむなしく、ITブームが来てそれが去る1998年から2001年まで財政均衡状態であったもののそれ以前もそれ以降も赤字を垂れ流し続けている。すなわち少なくとも25年間、アメリカは自助努力による財政緊縮というのを実行できないでいるわけだ。

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