Ogura Manabu
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私たちファイナンシャル・プランナーがクライアントに「最低でも半年くらい、できれば1年の生活コスト(生活防衛資金)を万が一のときのためにキャッシュで運用せずに保有しておくべき」というアドバイスはよくする。

生活防衛資金とはその名の通り生活レベルを維持するためのコストである。人生、何があるか分からない。ケガをしたり病気になったりする。そのために毎月の収入が絶たれるかもしれない。しかしそこで生活防衛資金がないと、不本意な仕事につかなければいけない可能性が出てくる。

アメリカのファイナンシャル・アドバイザー業界ではその生活防衛資金は3ヶ月から半年分だという。ここらへんに国民性が出たりするのだが、った3ヶ月分で生活防衛が十分できるとは思わない。この生活防衛資金は精神的なものもある。この現預金が背骨となるから、突発的な危機にも対応できるという自信が出てくる。

そういうニュアンスからいっても、やはり3ヶ月では物足りない。なので私たちは最低半年とアドバイスしている。たとえば1,000万円の現預金があるとして、生活コストが毎月30万円だとすると、

30×6=180

このケースの投資可能資金は

1,000−180=820

ということで180万円は生活防衛資金として現預金としておいておき、それ以外の資金を長期的な資産運用資金として充当する。もちろん、現預金なのでリターンはほとんどつかない。しかし逆にいえばその180万円だけは価格変動リスクを心配することはない…

と前置きが長くなったが、WSJで「生活防衛資金も運用するべき」という記事が掲載されていた。

リターンを生まない現預金よりも、個人退職口座などを活用して税務上のメリットを享受しつつリターンを得るべきだ、と。

この記事を書いている人はおそらく裕福だ。収入が途絶えて生活レベルを落とさなければならないような危機に瀕したことがないだろう。いざ危機に直面すると、生活防衛資金が現預金として、すなわち銀行の普通預金口座に入っているのは非常に大きな安心感になる。

大体、そういう資金が必要になるときというのはクビを切られた時=景気が悪い時=金融市場も悪い時だったりする。生活防衛資金まで資産運用に回してしまうと、不本意なタイミングで損切りをしなければいけないことになる…

ということで、賢い投資家の皆様は生活防衛資金は現預金としてとっておくようにしましょう。

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