Ogura Manabu
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昨年9月、香港で痛ましい事件が発覚した。

インドネシア人メイドが雇い主から壮絶な虐待を受けた。雇い主は夫婦プラス子供二人の四人家族。夫はインドネシア人のちょっとしたミスに対して激しく怒って自転車チェーンで殴ったりしていた。妻も同様に、熱したアイロンやカッターでメイドを傷つけていた。

香港で身寄りのないそのメイドの弱い立場につけこんで反抗に及んだ夫婦は地獄に落ちるべきだが、彼らに対する量刑の判断はここではしない。

この事件をきっかけに、メイドの人権向上についての議論が再燃している。我が家でも一人のインドネシア人メイドが住込みで働いている。朝は8時くらいから夜は9時くらいまで働いてくれ、毎週日曜日だけお休み。1年に1度、7日間の帰省をさせなければならないことが法定されている。

住み込みが必須で、メイド・ビザで来ているフィリピン人やインドネシア人は必ず雇い主のところに住む必要がある。食事代や部屋代は雇い主負担。とはいえ、月給5万円くらいで掃除、洗濯、炊事、子供の世話と何でもやってくれるので安い。給料も法定されている。

住み込みは雇い主にとってイヤではないのか、と言われると最初はちょっとイヤだったものの、すっかり慣れてしまった。なにせ得られるものあ多すぎる。家に帰ったらホコリ一つ落ちてない部屋に、アイロンをかけてあるシャツがきちんと畳まれ置いてある。シーツも3日に1度くらい洗濯される。

しかし、なにせ薄給・長時間拘束というブラックな環境。フェアトレードみたいなコンセプトがこれからのグローバルスタンダードになると考えれば、あの仕事量で住み込み5万円はいかがなものか…

メイドさんのクオリティ・オブ・ライフをあげるには、多分カネだけではない。法定の給料を上昇させることももちろんオプションとして必要だが、住み込みでなく通いのメイドがあってもいいはずだ。それはむしろ、雇い主にとっても助かる。香港は家が狭いからだ。それに、もし通いのメイドさんが認められれば、昨年起きたような事件は防げたのではないか、なぜなら通いであれば警察に駆け込んだり自宅で友達と相談したりする余裕が出てくるからだ。

個人的には住み込みのメイドを認めて欲しいのだが、今回の事件でそういった主張をするメイドさんたちも増えてきた、という。法改正のキッカケとなるかもしれない。

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