Ogura Manabu
中国のシャドウバンキングの問題が再び取り上げられている。資金繰りがくるしい理財商品が今年何十と出てくると考えられるが中国政府が不良債権買い取りのための、いわゆるバッドバンクを設立し事態の沈静化を図ろうとするだろう。

不良債権は税金で買い取られるので、投資家はある程度保護される。もちろん、最初に約束されていたリターンは確保できないかもしれないが。中国特有の身内意識、奔放な信用管理、そして最後には中国共産党がケツを拭いてくれるという甘え。

稼げない=付加価値を生み出せない企業は退場すべきだし、また投資家のほうも自分の判断における自己責任を取らないと資本主義は機能しない。経営の甘さの責任を、またそういった会社に投資をする甘さを共産党に押し付けているのが中国なので、そういった意味では中国の資本主義的な要素は機能不全に陥っている。

そういう機能不全の一部なのだが、「こんなことしてたら長くは持たないな」と思ったことが1年前くらいにあった。

場所は東京、青山の瀟洒なイタリアンレストラン。ある人のツテで、今話題になっている中国のとある信託銀行のリュウさん(中国人、仮名)を紹介された。年齢は50歳前後だろうか。差し出された名刺には東京大学大学院 - 法学博士とあった。

打ち合わせの目的は、2013年から中国の金融機関の国外投資に関する規制が緩くなったのでリターンの稼げる投資案件がないか、ということだった。

機関投資家であれば投資銀行経由でヘッジ・ファンドをいくつか紹介してもらえばいいじゃないですか、わざわざ僕に相談するまでもないですよという当たり前のことを言うとちょっと顔色が変わった。

いわく、毎年のリターンからリベートを別法人で受け取りたい、少なくともリターンの10%、できれば15%。コンプライアンスにうるさいグローバルな投資銀行だったらそれがバレればブラックリストに載ってしまうから投資機会が閉ざされることになるかもしれない…

AMGのような、中小で小回りのきくアセット・マネジメントの会社だったらその辺考えてくれるんじゃないの、と言外に匂わせているわけである。

商業銀行経由でカネは集まるけれど国内に投資先がない、しかも信用管理ができてないからデフォルト率も高く結局投資家が期待しているようなリターンはネズミ講式に出していくしかない、すなわち新しく入ってくるカネを配当にまわす、という。

ただそれにも限界があるので外国の投資案件で一発逆転狙いたい。しかし同時に中国国内でやっているようなリベートの慣習も続けたい、というか続けざるを得ない…


おいっ!法学博士!とツッコミを入れたかったが「AMGはそういうのやってないんで…」と言うと残念そうな顔をしていた。

それからリュウさんとは連絡を取っていないがその時に理解したのは「いずれ誰かが大きな負担を被ることになる」ということだ。ずさんな経営を永遠に許してくれるほど世の中甘くない。

コメントを投稿するにはログインしてください