Kobayashi Masayasu

 

2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)から早くも1年が経過しようとしています。テレビではどこの金融機関も顧客の囲い込みに必死のため、エンドレスでコマーシャルが流れていたのは記憶に新しいですね。制度が発足してから様々な問題点が指摘され、様々な点が改善されてきてはいるようですが。いかなる制度でも長所短所はあるものですが、どうしてもファイナンシャルアドバイザーとして心配な点があります。このNISAを利用する人々がどのくらいこの問題点・デメリットを理解しているのでしょうか...

そもそもNISAとは、2014年〜2023年の10年間に渡って、「毎年100万円まで」の非課税投資枠が設定され、投資金額100万円分までの投資に対する利益が5年間非課税となる制度です。それ自体は「貯蓄から投資へ」を加速させる、また日本経済にとっても非常に素晴らしい制度であると思います。また、デフレからインフレへ脱却しつつある日本においては、資産を守る有効な手段であるとも思います。

現状ではNISAはこの非課税期間5年(ロールオーバーで10年)が終了した後、一般口座もしくは特定口座へ移管をされる事になります。この移管する時の時価が「移管後の価額」となってしまいます。元のNISA口座で購入する価額ではなく、「移管時の価額」である事に注意が必要です。

何が問題なのか、実際の例で考えてみましょう。

例えば時価100万円である銘柄の株を購入したとします。非課税終了時に120万円に値上がりをしていれば、20万円は約束通り非課税となります。(もちろん終了以前に売却しても非課税です)まさに理想通りのストーリーですね。

では逆に80万円に値下がりをしていた場合はどうでしょう。非課税期間終了以降の価額は「移管時の価額」ですね。という事は、この銘柄の時価は80万円という事になります。 一般口座もしくは特定口座へ移管後、その銘柄が出資した100万円まで価を戻し売却した場合、どうなるでしょうか?


この場合、この資産は80万円で運用をスタートしたとみなされますので、現在の税率で計算しますと、(100万円―80万円)×20.315%=40,630円の税金支払いとなります。「100万円で買って100万円で売って、どうして税金が掛かるんだ!」と思われるかもしれませんが、これが現状のNISAのルールですので仕方がありません。

ちなみに90万円で売却をすると、20,315円の税金支払いです。実際にはさらに10万円も元値に到達していませんので、合計120,315円の損失となってしまいます

元値以下で売却したにも関わらず、さらに税金を取られてしまうという少し悲惨なケースです。

非課税、非課税と謳っている一方、このようなリスクを十分に告知し、サービスを受ける投資者側もこのようなリスクを認識されている方はどのくらいいるでしょうか? 金融庁の発表では、2014年6月時点でのNISA利用年齢層は、60歳以上の方が59.8%との事です。もちろん国民を守ってくれる然るべき方々が将来改善していただく事を切に願っておりますが、現況のルールはしっかりとご理解いただいてからNISAに取り組まれる事を強くお勧め致します。


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